Tuesday, July 17, 2007

ニューズによるダウ・ジョーンズ買収で暫定合意=関係筋

ニューヨーク(ウォール・ストリート・ジャーナル)米ニューズ・コーポレーション(NYSE:NWS.A)は16日、米ダウ・ジョーンズ(NYSE: DJ)を、当初からの提示額である50億ドル(1株当たり60ドル)で買収することで暫定合意した。17日夕方、ダウ・ジョーンズ取締役全員が出席する会 議で承認の可否を審議する。関係筋が明らかにした。

両社による話し合いとしては最後になるかもしれない16日の交渉で、ダウ・ジョーンズのリチャード・ザンニーノ最高経営責任者(CEO)、企業アドバイ ザー、独立取締役2人を含む出席者は、ニューズが4月中旬に提案したダウ・ジョーンズ買収で暫定合意に達した。ニューズのルパート・マードック会長は、買 値引き上げを迫るダウ・ジョーンズの圧力に抵抗した。1株当たり60ドルという買値は、ニューズによる買収提案が明らかになる前のダウ・ジョーンズの株価 を67%上回る水準。交渉の出席者によるとマードック氏は、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)の編集長だったポール・スタイガー氏をニューズの 取締役に推薦する可能性を示唆したという。

今回の合意には、最大のハードル、つまりダウ・ジョーンズの議決権の64%を握るバンクロフト一族の承認を得るという関門が残っている。ザンニーノ氏と 話した人物によると、同氏はニューズに、一族の中で賛否が拮抗(きっこう)しており予断を許さないことを示唆したという。

バンクロフト一族の財産の管理受託者で、一族を代表して交渉に臨んでいるマイケル・エレファント氏は、一族による最終投票に先駆け、19日にニューズと の暫定合意について一族全員に説明する予定だ。同氏は一族に意思決定のため数日の猶予を与えるとみられ、来週結論が出ることになりそうだ。ただ、一族は依 然としてニューズへの売却について意見が大きく割れている。一部はニューズへの売却を受け入れているが、ほかの選択肢を懸命に探しているメンバーもいる。

ダウ・ジョーンズ株の全議決権の約15%に相当する一族の財産を受託管理しているクリストファー・バンクロフト氏(55)は過去数週間、ヘッジファンド や未公開株投資会社などに接触し、ニューズによる買収を阻止できるだけのダウ・ジョーンズ株を取得するよう持ちかけていた。一族のメンバーでダウ・ジョー ンズ取締役のレスリー・ヒル氏は、スーパーマーケット業界への投資で知られる資産家のロン・バークル氏を含む投資家と会うよう、ダウ・ジョーンズに迫って いた。バークル氏はダウ・ジョーンズへの別の提案を考えていた。ヒル氏の母親は、同社株の全議決権の約15%に相当する一族の財産を受託管理または保有し ている。

ニューズが提示額引き上げを渋ったことは、バンクロフト一族の中でニューズによるダウ・ジョーンズ買収に反対する意見を一層強固にした可能性がある。ダ ウ・ジョーンズに近い筋によると、同社の一部の幹部や独立取締役は、一族の意見が割れていることが、ニューズの提示額を少しでも引き上げることにつながれ ばと期待していたという。ダウ・ジョーンズ株の16日終値は前週末比0.54ドル(0.94%)安の56.95ドル。その後の時間外取引では上げに転じ、57.45ドルで取引された。

16日の交渉は、マードック氏、ザンニーノ氏が出席したランチミーティングから始まった。ダウ・ジョーンズは、ダウ・ジョーンズ・ニューズワイヤーズに加え、ウォール・ストリート・ジャーナルとその欧州版・アジア版・電子版、バロンズ、 ファー・イースタン・エコノミック・レビュー、マーケットウオッチ、ダウ・ジョーンズ・インデックス、地方紙オッタウェイを発行している。またファクティ バを保有し、ハースト・コーポレーションと共同出資でスマートマネーを運営している。さらに世界のCNBCテレビや米国のラジオ局にニュースを提供してい る。(日本経済新聞2007年7月17日)

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